太陽光発電設置個人世帯に対する「同意書」徴収に対する質問状

 「全国グリーンファンド連絡会」は、2003年5月12日付けで、RPS法施行にともない各電力会社から太陽光発電設置個人世帯に対して送付された「同意書」に対して、質問状を、経済産業省および10電力会社に対して表記の質問状を提出しました。 (経済産業省宛て(上)および10電力会社(下)宛て) 

2003年5月12日

全国グリーンファンド連絡会

〒110-0015東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F 自然エネルギー推進市民フォーラム気付

 

太陽光発電設置個人世帯に対する「同意書」徴収に対する質問状

 

私たち「全国グリーンファンド連絡会」は、各地の市民主導のグリーンファンドや自然エネルギー・省エネルギーを推進していくため、また電力会社主導のグリーン電力基金に対して市民が関わって運用していけるよう働きかけるため、各地のNGO、NPOが情報交換を行うネットワークです。

さて今回、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」実施に伴い、太陽光発電システムを設置し、電力会社と系統連系を行っている世帯(以下PV設置者)に対し、各電力会社から「RPS法の施工にともなう、設備認定申請のお願いについて」(以下「同意書」)が送られてきました。環境に負荷の少ない再生可能エネルギーによる電力に対して価値を認めることは大いに意義のあることと考えます。しかし今回の「同意書」には恫喝とも取れるような内容があり、せっかく私費を投じて意義ある再生可能エネルギー導入をしたPV設置者としては落胆せざるを得ないものがあります。国の制度設計及び電力会社に対して以下の質問の回答を求めますと共に、私たちPV設置者の考えをお伝えして、改善可能な部分については善処いただきたく存じます。

再生可能エネルギーは、利用することによって資源を枯渇させないことに特徴があります。遠い将来のことを考えていただければお分かりのように、化石エネルギーはいずれ枯渇することは多くの人たちが指摘するところであり異論をさしはさむ余地は少ないと言えます。従って、時間軸で考えたときのエネルギーセキュリティーにとって、再生可能エネルギーが不可欠です。このように向かうべき方向がはっきりしている中での改善ですから、より早い時点での方向変換が最も優れた対策となります。

  一方で再生可能エネルギーには多種多様なものがあり、地域の特性に合った導入をしなければ活用困難なものです。また発電コストにも大きな開きがあり、多種多様な発電法を推進しようとするのであれば、それぞれの実情に見合った費用負担が必要です。現在、日本は世界一の太陽光発電設備の導入実績の国となりました。それは個人が住宅の屋根に太陽光発電システムを設置し、それを電力会社が電力の販売価格と同価格で購入する仕組みに支えられてきたものです。電力会社の努力とともに国の施策が功を通したと評価できるところです。メンテナンスに煩わされることが非常に少なく、都会であっても日当たりがあれば設置可能であるという太陽光発電の特性も、都会近郊の多くの世帯に導入可能なものとして広がった理由です。

 ところが今回の一部の電力会社の「同意書」をめぐる「お願い」によれば、将来の購入価格も保障できないばかりか、設備認定代行申請および新エネルギー電気の利用に「同意しない場合」には販売価格での買い取りすら認められなくなることがほのめかされています。このようなことが本当に方針なのだとすると、再生可能エネルギーの推進策のはずが、法の趣旨を外れてそれを衰退させる結果になりかねません。このことを私たちは非常に危惧します。再生可能エネルギーの推進を先延ばしすることは、将来のエネルギーセキュリティーを危うくし、地球温暖化防止に逆境することとなり、ひいては太陽光発電設備の生産量・設置数共に世界一である日本の将来に禍根を残す結果となると考えるためです。以下の質問にお答えいただくとともに、不都合が生じる部分については善処いただきますようお願いいたします。

  

「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」は、再生可能エネルギーの価値を認めて作られたものでしょうか。

それぞれの再生可能エネルギーによって、発電単価が異なります。同価格でグリーン電力を価値付けすると、特定の安い再生可能エネルギーだけが促進され、それ以外のものは衰退せざるを得なくなると思いますがいかがでしょうか。

特定の再生可能エネルギーだけを推進しようという方針なのでしょうか。

経産省は競争原理で自然エネルギーを選択するのかを是とするのでしょうか。

RPSの考え方として、「物理的電気部分」と「環境価値部分」の分け方を妥当だとお考えですか。(例えば太陽光発電の場合、電力会社に設備費がかからないこと、最終的には配電の距離が縮まること、電力安全保障に寄与するなどの価値はどこで評価されるのでしょうか。)

太陽光発電の「物理的電気部分」の価値を本当に電力会社が考えるように石油などの発電燃料分と同等だと国も考えられるのでしょうか。

 「太陽光発電など発電設備からの販売についてはその価格を妨げるものではない」とRPS法では例外措置が取られていますが、これを電力会社にどのように説明し、ありうる姿をどのように指示されているのでしょうか?

新設者が設備認定代行に同意しない場合、太陽光発電の買取価格が約6円との方針を出した電力会社もありますが、逆に管外の太陽光発電設置者個人から環境価値部分のみ購入することができる仕組みを準備するよう電力会社に明確に指示されているのでしょうか? 

太陽光発電の余剰電力部分のみがRPS法にて環境価値を持ち、他の部分が環境価値を持たないのはなぜでしょうか。

経済産業省としては、電力会社の設備認定代行の同意強制を是とされるのでしょうか。

本来のRPS法では「グリーン証書」を用いた市場が同時に併設されます。このように自然エネルギーの普及を市場性からも推進できるものが先駆的に進められている、海外の例が数例ありますが、なぜそれを実現せず電力会社間のみの代行制度にしたのでしょうか。 

RPS法はこれまでにないエネルギー政策ですが、多くの関係者に周知徹底させるには周到な準備と事前の説明が十分になされなければならないと考えられますが、実際には電力会社の先行で初めて国民の知るところとなり混乱をきたしています。それを回避する手立てをなぜできなかったのでしょうか。

電気事業者が割り当ての義務に違反した場合には勧告命令を出し、違反した場合は100万円以下の罰金を課せられることになっていますが、義務違反の防止として最高100万円というのはあまりにも低額と考えられます。なぜこのような実効的ではない処置になってしまうのでしょうか。その根拠となる考え方を示していただきたいと存じます。

電力会社からのこの「同意書」の「お願い」では、PV設置者に対して、同意しなかった場合に買取り価格を低減するような売買電の契約見直しを迫るものと、そのような圧力をかけないものと、各社間で大きな差があります。「法の前では国民は平等である」という原則が大きく損なわれるものです。この点は国としてどのようにお考えでしょうか。

 

  

電力会社取締役社長宛に提出した質問状 (北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄)

 

前文は同じ

 

「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」は、再生可能エネルギーの価値を認めて作られたものと電力会社もお考えでしょうか。

それぞれの再生可能エネルギーによって、発電単価が異なります。同価格でグリーン電力を価値付けすると、特定の安い再生可能エネルギーだけが促進され、それ以外のものは衰退せざるを得なくなると思いますがいかがでしょうか。

電力会社も特定の再生可能エネルギーだけを推進しようという方針なのでしょうか。

電力会社は競争原理で自然エネルギーを選択するのかを是とするのでしょうか。

RPSの考え方として、「物理的電気部分」と「環境価値部分」の分け方を妥当だとお考えですか。(例えば太陽光発電の場合、電力会社に設備費がかからないこと、最終的には配電の距離が縮まること、電力安全保障に寄与するなどの価値はどこで評価されるのでしょうか。)

太陽光発電の「物理的電気部分」の価値を本当に石油などの発電燃料分と同等だと電力会社は考えるのでしょうか。

「太陽光発電など発電設備からの販売についてはその価格を妨げるものではない」とRPS法では例外措置が取られていますが、これを電力会社はどう解釈しているのでしょうか。

太陽光発電の既設者に関して、設備認定代行および新エネルギーの当該電力会社への帰属に対して同意しなかった場合、現在の電力購入契約はどうなるのでしょうか。また、現在の契約が切れた後の更新契約において、電力購入価格およびその価格が適用される期間はどうなるのでしょうか。さらに、同意した場合においても、現在の契約が切れた後の電力購入価格およびその価格が適用される期間はどうなるのか定かではありません。その点はいかがでしょうか。

太陽光発電の設置者に対して、設備認定代行に同意しない場合は太陽光発電設備の電力受給契約を見直すという方針を出している電力会社もありますが、この実行に関しては裁判も辞さない姿勢でいらっしゃるのでしょうか。

新設者が設備認定代行に同意しない場合、太陽光発電の買取価格が約6円との方針を出した電力会社もありますが、では逆に管外の太陽光発電設置者個人から環境価値部分のみ購入する準備はできているのでしょうか。

電力会社はRPS法に反対されてきましたが、最終的に妥協され変則的なRPS法が成立しました。電力会社としては、このRPS法を本気で推進しようとされているのでしょうか。

電力会社からのこの「同意書」の「お願い」ではPV設置者に対して、同意しなかった場合に買取価格を低減するような売買電の契約見直しを迫るものと、そのような圧力をかけないものと、各社間で大きな差があります。この点は電力会社としてどのようにお考えでしょうか。