「グリーン電力基金」に対する要望書

2000年10月2日に、電気事業連合会に対して、「グリーン電力基金」に対する要望書を出しました。 これは、9月25日に行った、「全国グリーンファンド意見交換会」での議論をまとめたものです。

電事連の回答は、この制度は各電力会社が実施するもので、電事連は要望書に対して回答する立場に無いという傍観者的なものでした。

以下のような問題点を残しながら、既に10月から運用開始(出資者募集開始)しています。私たちは東京電力とのコラボレーションを通して、今後も市民の意見を伝えていきたいと考えています。 電気事業連合会会長 太田 宏次 殿

「グリーン電力制度」導入にあたっての要望書

 

 2000年10月1日より 貴連合会の全国10電力会社によって一般個人向けの自然エネルギー普及支援制度「グリーン電力基金」をスタートされました。また、企業・法人向けの大口支援制度も10月末から導入予定と聞いております。

これらの「グリーン電力制度」を電力会社が積極的に自らのイニシアティブで推進していること、グリーンな自然エネルギー普及を図ろうという姿勢を歓迎し、その努力を応援していきたいと考えています。

 従来から自然エネルギーおよび省エネルギーの普及にグリーン電力制度の導入が欠かせないと考えてきた私たちは、貴連合会の企画する「グリーン電力制度」には問題点があるとし、いくつかの電力会社とは(特に東京電力(株)とは)これまで数回の意見交換をしてきましたが企画内容が個別の地域にとどまらないものが多く含まれていることを理解するに至りました。

 以下にその問題点を示し制度実施の中で改善されることを強く要望します。

 

1)明確な目標値の設定を

 貴連合会が「グリーン電力制度」を導入する大きな動機は「新エネルギーの更なる普及」にあるとされています。「グリーン電気料金」の拠出希望者数が予測しがたい面がありますが、普及の目標値は最低・最高を含めて明確にしてください。

 つまり、どのくらい再生可能自然エネルギーを増やそうとしているのか、あるいはどこに新たな再生可能自然エネルギー設備設置を計画しているのかを示し、どの金額まで集まったらマッチングファンドを出すのか、など具体的な計画を示してください。 

 予算額だけでなく明確なターゲットを持つ制度でなければ、市民が更に追加して継続拡大する意識を引き出すことは難しく、せっかくの画期的な制度導入効果を減じてしまうことを懸念します。

 

2)市民性のある制度を

 今回の制度で最も私達に失望を与えているのは市民の自発的参加を積極的に促す方策が見えないことです。制度では「各地域に透明性を確保した運用主体を設立する」としていますが、予定されている運用主体は各地の(財)「地域産業活性化センター」となっています。

 この地域産業活性化センターはその構成を見ると電力会社およびその管轄省庁である通産省と深いつながりがあることが解ります。従来の原子力の事業者側と規制側に同じ人々が関わっていたのと同じ構造です。

 これでは「公益的な第三者機関」と言うには余程の組織的位置付けが必要です。「運営は学識経験者・消費者代表・電力会社等の意見を反映(協議会等)して行う。」とありますが、(財)「地域産業活性化センター」の中にあって独立性が保たれるには、権限の範囲など明確にし、第三者的透明性を確保する措置と運営の合意が求められてます。

 例えば、

 ・寄付金を提供する消費者の意見表明の機会を付与すること

 ・協議会を単なる諮問機関とせず、独立した決定権をもつ機関とすること

 ・協議会の構成員は決定による直接の利害を受けない者に限ること

 ・議事の公開、傍聴と意見表明の自由を確保すること

などです。

 グリーン電力の要件の第一は市民の自発的な参加意識と運営参画の保証にあります。この時重要な役割を担うのがNGO・NPOであることは、「COP3京都会議」など環境問題を協議運営する国際的な場を見ても明らかです。市民が「値上げされた電気料金」でなく「上乗せグリーン電気料金」として身銭を切るときの拠り所とするのは、市民主導であるかどうかです。日本で画期的といわれその先駆性がもてはやされるにはこの市民性をいかに取り入れるかが鍵となります。

 

3)市民との「対話と協働」の実現を

 私たちの中には、原発問題では鋭く対立しながらもコラボレーション(協働)を生かしつつ、グリーン電力導入の調査や協議を電力会社と積み重ねてきたグリーンファンドのメンバーがいます。協議の中で、私たちが提案してきた内容を今回の制度の中に多く取り入れられたことは評価するところですが、残念ながら具体的提案・作成段階からは各地で試みていた「市民と電力会社の対話と協働の場」が無視される結果となったことは残念なことです。

 もし私達との協議のプロセスが大事にされれば市民性の確保がなされたはずです。今後は「市民との対話と協働の機会」を重視されるよう求めます。

 さらに各地域の電力会社の取り組み状況を総合すると、各電力会社間に、この制度導入に対する熱意に温度差があります。NGOとの対話・協働を積み上げてきた電力会社とそうでない所とでは明らかにグリーン電力制度導入への対応に大きな差があります。

 結局電気料金値上げの押し付けと何ら変わらないものに成ることが危惧される地域が少なくありません。

 

4)グリーン電力の範囲の拡大を

 今回のグリーン電力制度導入の動機の一つとして、東北電力サービスエリアに集中している大型風力発電所建設要望に対応するという説明があり、グリーン電気料金として集められた基金はほとんどが風力発電助成に当てられるとされています。風力発電の「kWh当たり一律単価補助」は理にかなったものといえますが、良好な風況地の偏在や企業の利になる補助となってしまうこと、さらに企業間競争のため環境破壊さえもが予測されます。

 私たちの「グリーンファンド」の中には風力市民共同発電所の建設を企画しているものもあります。広く市民の自発的な環境貢献意識の拡大を促す方法として、入札に「営利企業枠」だけでなく、「市民事業枠」を設け、このような企画とリンクすることを協議し運用されることを希望します。

 わずかに太陽光発電への助成が考えられていますが、現在考えられているものは助成対象が公共機関の設備費に限定されています。準公的なグリーン電気料金を、なぜ公共機関へ補助するのかという疑問もあります。

 普及のため最も必要とされ、これまで国の機関でかえりみられなかった「地域ないし流域由来のバイオマス利用」、「中小型風車」、「小型水力」などの自然エネルギーへの適用がありません。今後、段階的にグリーン電力の範囲を拡大されるよう希望します。

 

5)「自然エネルギー促進法」成立を阻害しないよう進めること

 今回の「グリーン電力制度」には、今国会で議員立法の準備をしNGOの多くが支持している「自然エネルギー促進法」の成立を、阻害しかねない「競争入札」などの要素を含んでいます。

 自然エネルギーの普及にはマーケットメカニズムだけでなく、より意識的な一般市民の合意による施策が欠かせません。「自然エネルギー買取」を基調とする「自然エネルギー促進法」とタイアップするものとして、環境負荷が小さく持続可能性を目指したエネルギー政策の一環としての「グリーン電力制度」を意識した導入であるべきです。

 これらの問題点が市民に知らされないまま、制度が実施されようとしています。「グリーン電力」のグリーンの語句には単に再生可能なエネルギーという物理的な意味だけでなく、透明性、公明性、市民性という「民主主義」が不可欠な属性としてあります。

 市民は現在の電気料金に内包されている不透明さや矛盾を知らないわけではありません。だからこそ、市民が安心して自発的に参加できる「グリーン電力」を熱望するものです。

 

 この要望書は「グリーン電力」の先駆けとなる「グリーンファンド活動」を実践し(すでに全国に2000名近くのグリーンファンド会員が私たちの活動に共鳴して存在しています。)、また強くグリーン電力制度導入を望んできた市民が9月25日に東京の自然エネルギー推進市民フォーラム(REPP)会議室に於いて貴企画の[グリーン電力制度」について意見交換を行い、さらに上記の要望・危惧を共有する方々の意見を基にまとめたものです。

 

全国のグリーンファンド意見交換会参加者及び賛同者一同。

 

北海道グリーンファンド

自然エネルギ−推進市民フォーラム

中部リサイクル運動市民の会

きょうとグリーンファンド

再生可能エネルギー推進市民フォーラム西日本

気候ネットワーク

地球の友ジャパン

屋久島環境政策研究所

自然エネルギー事業協同組合レクスタ

環境市民

足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ

地球温暖化防止石川連絡会(エコ連石川)

ソフトエネルギープロジェクト

長谷川公一 伊東英樹  細川弘明  戸田清  安部竜一郎  野村修身  羽熊直行

大林ミカ 竹中清子 矢野良子 岩本孝子 飯田和子 鎌谷蓮衛 坂本勇夫 倉茂洋一